8月25日、農林業の知と技の拠点施設 連携・交流館(仮称)新築工事の構造見学会が開催されました。参加者は 100名を超える盛況ぶりでした。発注者は山口県、設計は梓設計・長野総合建築事務所JV、施工は澤田建設・技工団JV。建築規模は延床面積873.63m2の平屋一部2階建ての、純木造建築物。
建物の特徴は、柱と梁の接合部に、異形鉄筋を挿入し、エポキシ樹脂で充填したGIR(Glued in Rod)工法による、2方向ラーメン構造の採用。この工法は1980年代にノルウェーで開発されたもので、その後全世界で使用されており、日本では1990年代に入ってから使用事例が見られるようになりました。山口県内では美祢市の来福台県営共同住宅がその第一号棟となります。そのほか山口市の徳地中学校、防府市の大道小学校体育館の屋根にもこの工法が採用されています。使用された構造用集成材には、山口県のスギが利用され、製材は大林産業株式会社、大断面集成材は銘建工業(株)、中断面集成材は山口市の(株)リンケンで製造されました。
年内に完成する連携・交流館は、県民が利用できる6次産業化新商品開発のためのオープンラボや研修室となります。現在、農業大学校敷地内では連携・交流館のほか新本館など、山口市の農業試験場と林業指導センターの移設整備工事が進められ、令和5年4月から農林業の人材育成と新技術開発研究の機能が集約されることとなっています。林業研究においては、供給量が深刻になり始めている苗木の安定供給の確保を目標に研究が行われる予定で、脱炭素社会の実現に向け、人工林に期待されている‘グリーンカーボン’という機能を維持するために、欠かせない施設となることが期待されています。